先日、往診獣医師協会主催で阿部美奈子先生にグリーフケアのセミナーを行っていただきました。 グリーフケア…恥ずかしながら、ペットが亡くなった後の、飼い主様に対するペットロスのケアだと思っていました…。私が今回の気づきで印象的だったのは下記です。 グリーフとは「喪失によっておこる心と身体の反応」 ・ペットが生きているときから人間におこる →病気による当たり前の毎日の喪失、もしこの子がいなくなったらと喪失の予期など ・ペットにも人間同様グリーフがおこる →病名・検査結果を聞いて飼い主様が悲しそう=なんだかとても不安 飼い主様が泣いたり辛そうな顔をする時間が増えた=安心な当たり前の毎日の喪失 言葉を話せないからこそ、空気を読み取る才能に長けているペットたち。 人間同士が話し合う、雰囲気や表情、言葉のトーンなどに私たちが思っている以上に不安を感じるんですね。今まではペットたちの痛みや苦しさを軽減することに重きを置いてきましたが、プラスして、ペットが安心して生活できる空間を、飼い主様とともに作り上げることも意識していこうと感じさせられました。こういう面においては、ご自宅に入って診療をさせていただいている往診獣医師はお力になれることが多いですね! とても大きな気づきをいただいた貴重なセミナー時間でした。 阿部美奈子先生のご活動・ご活躍についてはこちらから↓↓ https://grief-care.net/
動物用往診車の疑問にお答えします! 動物用往診車って言っても、動物病院の設備と違って、注射くらいしかやってもらえないんじゃない!? と、思っている飼い主様もいらっしゃるかもしれません・・・。 いえいえ、そんなことないんです!! 今回は、往診車に対する疑念(?)を解決すべく、往診獣医師協会の先生方にご協力いただき往診車を見せてもらいました! 往診車の大きさは? まずはじめに車の大きさですが、軽ワゴンや小型普通車などに乗っている先生が多いようです。 やはり住宅街へお伺いする事が多く、小回りがきいてたくさん荷物が乗せられる車が使いやすいですね。 車内での診察や処置が出来るよう、ミニバンやキャンピングカーなどを病院仕様にカスタムして診療にあたっている先生もいらっしゃいました! 車は近隣のコインパーキングを利用しますが、ご自宅の敷地内に停めさせていただくこともあります。 往診車の中に何がある? では、車内はどうなっているのでしょうか?? 先生方に写真を撮ってきてもらいました! 往診先で様々な状況に対応出来るよう、たくさんの診療道具を車載しています。 車内に棚を造作するなどし、できるだけたくさんの道具が載せられるようにしてあります。 また、カテゴリーごとに箱やカゴにまとめてすぐに運び出せるよう工夫されています。 ですが、病院内にあるものを全て持っていくことはできません。 ご予約時に状況を伺い、必要なものを想定して車へ積み直しています。 診療範囲がさほど広くない先生は、1件ごとに診療拠点に戻ることもあるようです。 聴診器や注射器など、使用頻度が高く小さいものは往診カバンに入れて携帯しています。 顕微鏡、超音波検査機器、血液検査機器などの大きい機材は車に置いたまま、患者さんのおうちへ上がります。 画像では、中に何がしまってあるのか、分かりにくいですが… 【おくすり系】 注射薬、点滴、飲み薬、塗り薬、予防薬、療法食、調剤道具など 【診察のときに使うもの】 体重計、保定に使う猫袋や洗濯ネット、エリザベスカラーなど 【検査に使うもの】 顕微鏡、血液検査、超音波検査、血圧計、遠心分離機、など 【処置に使うもの】 注射器、カテーテル、消毒液、包帯、外科器具セット、酸素やネブライザー吸入器など 東洋医学の先生は、鍼灸セットなども。 【事務用品】 カルテや証明書などの書類、タブレット端末、プリンター、文房具など 【便利グッズ】 コロコロ、ウェットティッシュ、雨具、予備の着替えや靴、スリッパ、感染症対策グッズなど えー、書ききれません・・・。 とにかく沢山あります! 往診専門動物病院では、レントゲン装置や入院室、手術室はありません。 しかし、出来るだけ一般の動物病院と同じ治療をご自宅でも受けられるように、さまざまな工夫と努力を重ねています。 (可能な検査や処置は病院ごとに異なります、各病院へお問合せください) そして夏の車内は猛烈に暑くなりますので、薬や機械が痛まないよう、小型の冷蔵庫を用意したり、日除けの工夫もされていました。 協会所属の先生方、ご協力ありがとうございました!
慢性腎不全の自宅管理で、定期的に伺っている猫ちゃんのおうちからご連絡。 「先生、下痢です、ぴゅーって水下痢が続いています…泣」 慢性腎不全の猫ちゃんは、どちらかというと便秘傾向になります。 いち時的なものだといいなと思いつつ、初日は便検査と対症療法を実施しました。 …良くなりません。 「腎不全の他にも病気を発症してしまったのですかね…下痢が続くなら、血液検査と超音波検査をしましょうね。そういえば、いままでも何度か軟便の時ありましたよね?」 と問いかけると、 「そうです、うんちを緩くする薬を飲んだ時だと思うのですが…」 と言いながら、猫ちゃんの管理ノートを出してきてくれました。 腎不全で食べムラのある猫ちゃんなので、飼い主様が投薬記録と一緒に毎日、その子が口にしたものをメモしている素敵なノートです。 振り返ってみてみると、軟便の日のおやつの欄には“カニカマ”の文字が。 ここ数日はドライフードを食べてくれず、“カニカマ”が食事のメインになっていました。 「…もしかするとカニカマが原因??」 病院と検査が大の苦手な猫ちゃんなので、まずは“カニカマ禁止”から始めてみることになりました。 すると、驚くほど見事に下痢が止まりました!! 飼い主様の素敵ノートがなければ、そしてそれを一緒に開いて経過を追う、往診ならではの飼い主様と獣医師の距離の近さがなければ、きっと検査・検査でなかなか下痢は解決しなかったと思います。 一般の動物病院ほど機器設備は揃っていないですが、往診専門病院ならではの強みもあります。 大事なペットのために、記録をとっている飼い主様はたくさんいますよね。それはとても大切な、その子の蓄積データです。ぜひ見せてくださいね! ※今回ご紹介した猫ちゃんは、カニカマ(ペット用)が体に合いませんでしたが、大丈夫な子もたくさんいます。猫ちゃんの体調をみながら与えることに問題はありません。
痒みの原因は、犬小屋にあり!? 都心部ではマンションなどの集合住宅でも飼いやすい小型犬や猫が人気ですが、郊外では敷地を広く活用できるため、のびのび外飼いのわんちゃんも多いです。 先日、こんな相談がありました。 2週間程前から急激に皮膚炎が進行し、全身掻き壊してひどい状態。外飼いの犬なので野生のタヌキから何かうつったかもしれない。 とのこと。 タヌキ、皮膚炎、でまず最初にピンと来るのは疥癬症(かいせんしょう)です。 疥癬症とは、ヒゼンダニというダニの感染が原因で起こる皮膚炎です。 往診に伺い玄関先に車を停めると、さっそく庭先で吠えてお出迎え。 番犬としてしっかりお仕事してますねー。 そのわんちゃんは、遠目でもわかるほど脱毛が進行し、特に大腿部と四肢でひどい様子でした。時々後ろ足で体を掻きむしっています。 うーん、これはかなり痒そうだ。 痒みを伴う皮膚炎を起こす病気はいくつかあるのですが、タヌキが犬小屋に入り込んでいたのを見たという稟告と症状の経過から、今回は疥癬症を疑って駆虫薬を処方しました。 結果、皮膚炎は2週間ほどで良くなり、1ヶ月後には毛も生えて見違えるほどになりました! しかし原因となるダニとの接触を避けなければ再感染し症状を繰り返す可能性があります。 わんちゃんが普段過ごしている小屋には囲いがありませんでしたので、野生動物の侵入を防止するため柵や網を張っていただくようアドバイスいたしました。 次回お伺いすると、DIYされていました! これでタヌキさんが入り込むことはないでしょう。 また、外飼いでは虫に刺されやすかったり、ネズミなどの小動物が侵入する可能性もありますので、フィラリア症の予防、ノミやダニの予防、ワクチン接種なども継続して行っていただくといいですね。 往診での診察は、ご家庭でのペットの飼育環境を見てお話しできるところも魅力のひとつです。 今回のような外飼いのわんちゃんだけでなく、トイレのしつけについての相談ができたり、介護をしている子や多頭飼いの子たちの住環境についてもご相談いただけます。 特に猫ちゃんの場合は尿路系疾患が多く、トイレの大きさや設置場所、水のみ場の状況も重要なポイントになります。トイレの設置数を増やしたら、なかなか治らなかった膀胱炎がおさまった、なんてことも。 このように往診獣医師は病気の治療だけでなく、生活環境を見直し、健康維持にお役に立てるようなアドバイスも行っております。 うちの子のおうちも見てもらいたい!と思った際は、お気軽に往診専門動物病院へご相談ください。
こんにちは! 今日はおうち看護の工夫、第2弾です。 おうちとペットの数だけ、できること・できないことがあり、看護の工夫は様々です。 他の皆様のお役に立つかも、と思い、その工夫を共有させていただきます。 今日のご紹介は、歳を取って踏ん張りがきかず、ご自宅のフローリングで滑ってしまう柴犬さんです。 あまり気にしない子だと、滑り止め付きのわんちゃん用の靴や靴下を履いてくれる子もいます。でも気にして外してしまう子が多いですよね… 床材を替えられるなら最高ですが、そうもいかないことも多いと思います。 今回の柴犬さん。 市販の肉球に貼る滑り止めを使って、足が流れず歩けるようになりました! 市販のものは、肉球すべてを覆うものですが、これだとかなり気にしてしまうとのこと。 飼い主様がご自身でカットして(写真の〇の部分)、一番大きな肉球にのみ貼っています。 こんな小さく思えるひと工夫で、本人も気にせず、そして滑らすにフローリングを歩けるようになりました。 困った際のヒントになれば嬉しいです!
往診開業している先生、往診開業しようと思っている先生方の交流会を開催いたします。 近くの先生との交流を通して、診療の協力がしやすくなったり、こんな工夫をしているよと言う診察のやり方の情報共有。新規開業を検討している先生は既に行っている先生にいろいろ質問したり。 過去の交流会でもあっという間に時間が過ぎてしまいました! オンラインではありますが、少人数制のグループに分けて、前半・後半の2回、メンバー入れ替えで行います。 興味がある方は詳細ご覧の上、ご参加ください。 ✳︎交流会への参加条件は往診獣医師協会の会員になる必要があります。この機会にぜひ入会をご検討ください 【開催日時】6月28日21:30〜 【開催場所】オンライン 【参加条件】往診獣医師協会の会員であること 【入会お申し込み】 https://jhvca.main.jp/joinus/
大型犬のトイレ問題 寝たきりになったらどうしよう!? それは、14歳のスタンダードプードルの飼い主さんからのお電話でした。 なんと3日間おしっこが出ていない、とのこと。 えええ、、3日間もおしっこ出ないの?ほんとうに?? 驚きながらも経過を詳しく聞くと、数日前から急な眼球振盪とふらつきで立つことができず、寝たきりになってしまったそうです。 体重が24kgあり、飼い主さん(女性)が抱えて車に乗せられず、通院が困難に。 近所のかかりつけ動物病院でお話だけしたら、おそらく特発性前庭疾患だろうということ。 激しい嘔吐でごはんもお水も摂取できていないため、点滴剤と注射セットをもらって、発症からの3日間は自宅で皮下補液をしている。ということでした。 ところが3日目になっても、おしっこが出ない! かかりつけでは往診をやっておらず、インターネットで往診動物病院を探して、こちらへ電話をしたのだそうです。 膀胱におしっこが溜まっているかどうか、診てほしい。 おしっこが溜まっているなら圧迫やカテーテルで出してほしい、とのご依頼でした。 緊急性が高いと判断し、お電話の後すぐに往診へ。 診察をしてみると、膀胱はパンパンになって硬く張っていました! これは、かなりつらそうだ、、、。 この子は普段の排尿はお外でしているとのこと。 どうやら自力で立ち上がれないこともあって、トイレを我慢してしまっていたようです。 これ、けっこう大型犬あるあるなんです。 普段、お散歩中に外で排泄している子は、外に出るまでずっとおしっこを我慢してしまうんですよね。 けれども具合が悪くて立てない大型犬を、外に連れて行くのは至難の業です。 もし入院中であれば、尿道カテーテルを設置してしまうところです。 このスタンダードプードルさんも、カテーテルを通して尿を抜いてあげることにしました。 (硬くパンパンに張った膀胱に対して圧迫排尿をすると、膀胱に過度な圧力がかかり破裂してしまうことがありますので注意が必要です。) カテーテルを入れるとすぐに尿が出てきました。 何度もシリンジで引いて、どんどん抜いていきます。 抜いても抜いてもなかなか空になりません。 ペットシーツがどんどん重たくなっていき、、、 なんと、700cc近く、抜けました!! 1日に250cc点滴をしていたので、摂取した水分くらいは尿が溜まっていたようです。 抜去後は、下腹部がすっきりペタンコになっていて こんなに溜まってたんだね!と飼い主さんも驚いていました。 今回、おしっこが出ない原因は単に我慢していただけ、ということになりますが、我慢しすぎると腎臓に負担がかかってしまいます。 また、尿道結石が詰まって尿が出ない場合(尿道閉塞)、早急におしっこが出るように詰まりを解除してあげなければ命に関わります。 そのほか、尿が作られていなくて出ていない、ということであれば急性腎不全の可能性もありこちらもすぐに治療が必要です。 このスタンダードプードルちゃんは、その後も自然に出せるようになるまで毎日カテーテルで尿を抜くことになりましたが、現在は前庭疾患の症状もおさまり問題なく排尿できています。 後日の血液検査で腎臓に異常がないことも確認できましたので、ほっとひと安心でした。 1日以上おしっこが出ていない、という場合は、すぐに治療を受けるようにしましょう。 通院が難しい場合は、迷わず往診専門動物病院へご相談ください!
往診で良く聞く単語! 「うちの猫、キャリーに入れられなくて、通院ができないんです…」 通院できないなら、往診という選択肢があるから、普段は入れなくてもOKです! でもこのご時世、いつ災害に直面するかはわかりません… どうしてもキャリーバックに入ってもらおうと格闘するときがくるかもしれません。 猫ちゃんのキャリーバック慣れは、できます! しつけが難しいと言われる猫ちゃんですが、実はちゃんと覚えてくれます。 キャリーの中は嬉しいことがある、と根気強く教えてあげてください。 ・キャリーの中に毎日1回、特別におやつを置いておく ・キャリーの中でごはんをあげる ・キャリーの中にお気に入りのベッドを入れておく 突然、がしゃん!とキャリーの扉を閉めると、怖い気持ちが生まれると思うので、まずは自由に出入りできる場所・嬉しいことがある場所という状態を保ってみてください。 ブログの写真は、キャリー大嫌いな兄弟が、ちょっとづつ頭を入れられるようになってきたものです🐱
かかりつけ動物病院は決まっていても、さまざまな理由により通院が困難になることがあります。 いざというときに自宅まで来てくれる獣医師がいれば、とても安心ですよね。 では、どんなときに往診を利用するといいのでしょうか。 本稿では、ぜひ動物の往診を活用していただきたいシーンをご紹介します。 高齢で通院による負担が気になる、自宅でできるケアについて悩んでいる 人と同じように動物も、高齢になるにつれ通院や長い待ち時間が負担になってきます。 予防接種や健診(レントゲン検査を使わないもの)、食事など普段のちょっとした相談は往診でも可能です。 かかりつけ動物病院とうまく併用し、なるべくペットの負担を減らしてあげましょう。 高齢な子の場合、とくに以下のようなご相談が多いです。 夜鳴きや徘徊(同じところをぐるぐる回ってしまう)などの認知症症状がある子との過ごし方 寝たきりの子のトイレやシャンプーなどのお世話、ベッドの作り方や床ずれ予防について 食欲不振に対する点滴や、シリンジでの流動食給餌(強制給餌)について 癌などによる痛みのコントロール ターミナルケア(終末期医療) 動物病院や外出そのものが苦手なので、自宅で安心して診察を受けさせたい 動物病院では不安やストレスから、吠えたり暴れてしまったり診察に協力できない子もいます。 しかし往診では、自宅でリラックスした状態で診察を受けられるので、検査や処置がスムーズに終わりますし、ペットに余計な不安や恐怖を与えずに済みます。 また、お散歩が要らない猫はお年寄りや単身者でも飼いやすく、飼育頭数が年々増加していますが、基本的に猫は慣れない場所への外出が苦手な動物です。通院のためにキャリーバッグに入れるだけで一苦労、という方も多いのではないでしょうか。近年人気が出ているうさぎやモルモット、インコなどの小動物も、温度変化や環境の変化が命取りになり得るため自宅での診察が好まれています。 他の動物との接触を避けたい 猫や小動物の場合、他の動物の鳴き声にストレスを感じる子が多く、動物病院が苦手な一因となっています。 犬の場合は、他の犬を見ると警戒心や遊びたさからずっと吠え続けてしまう、という子も珍しくありません。 往診では他の動物との接触が一切ありませんので、動物にとっても飼い主さんにとってもストレスなく診察が受けられます。 また、接触を避けることで感染症対策としても有効です。 椎間板ヘルニアや手術後のリハビリをしたい 椎間板ヘルニアで麻痺が残っていたり、膝の手術を受けていたり、からだが不自由な子を抱えて通院するのは飼い主さんも大変です。自宅でマッサージやリハビリが受けられればペットの負担も減らせます。 リハビリや鍼灸治療を専門に扱っている往診専門動物病院もあります。 かかりつけ医と連携して治療の選択肢を広げたい 腎不全などの慢性疾患では、日常的に点滴治療をしなければならない場合も多くあります。 定期検査はかかりつけ動物病院で受け、日々の点滴(皮下補液)は往診動物病院に依頼する、といった使い分けをすることで、動物にとっても飼い主さんにとっても無理なく治療を続けることができます。 また、末期の腫瘍などにより、手術や入院などの積極的な治療ができない場合でも、往診で痛みのコントロールや補助的な点滴治療を行うことができます。 飼育環境をふまえたアドバイスをして欲しい 往診では、ご自宅での過ごし方や、食事内容・トイレ・ベッドなどの飼育環境について、実際に見ることができるため的確なアドバイスが可能です。 とくに猫の膀胱炎や尿石症では、トイレ環境の改善が必要であることが多く、トイレの数や設置場所に悩んでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか。 また、せっかく食事療法をしているのに、ご自宅に伺うとおやつが置いてあったりすることも。 適切な管理ができているか、飼い主さんが見落としていることも獣医師が実際に見てアドバイスできます。 老犬の介護ではベッドのつくりかたのご相談も多いです。 仕事や子育てが忙しく急な通院に対応できない、待ち時間がもったいない 共働き世帯の増加や核家族化により、現代人は何かと忙しく時間に追われがちです。 ペットの体調が急に悪くなってしまったが動物病院へ連れて行く余裕がないときは、自宅で診察を受けられると便利です。通院を先延ばしにすると症状が悪化する可能性がありますので、そんな時はぜひ往診専門動物病院に相談しましょう。 狂犬病予防接種やフィラリア予防など動物病院が混み合う時期にも、往診なら待ち時間なく診察が受けられます。 このように動物の往診は、動物にとっても飼い主さんにとっても、通院の負担を減らすことができるとても便利なサービスです。 通院が負担と感じることが少しでもあれば、まずはお近くの往診専門動物病院へご相談ください。
こんにちは! 今日はおうち看護の工夫、第1弾です。 往診では様々なおうちに伺いますが、 どこのおうちでも、その子に合わせた看護の工夫をしながら日々頑張ってらっしゃいます! 他の皆様のお役に立つかも、と思い、その工夫を共有させていただきます。 今日のご紹介は、ご自宅でネブライザーを実施している方です。 動物のネブライザーは、霧がもくもくのお部屋に入ってもらい実施します。 さて、病院なら設備があっても、おうちでのネブライザーはどんなお部屋でやろう… 悩まれることかなと思います。 私がご自宅で見たことがあるのは、下記です↓↓ ・衣装ケースに空気穴をあけた、手作りケース ・酸素室の中 ・通院用のキャリーバックの穴をサランラップやビニールで塞ぐ(→これは簡単ですし、コストかからず!ブログ内のお写真の通りです!) ネブライザーは慢性の鼻炎や、副鼻腔炎、一部の気管支炎などで行われる治療です。 もちろん通院して病院で受けることもできますが、薬剤を処方してもらい、ご自宅で実施している方もいます(病気にもよるので、かかりつけの先生に相談してみてください)。 困った際のヒントになれば嬉しいです!
動物病院にペットを連れて行きたいけど、通院が大変だなぁ、と感じたことはありませんか? 今日では、犬や猫などの小動物も、人と同じように病院でワクチン接種を受けたり、病気になったら検査や治療を受けることは当たり前となりました。しかし、外出が苦手な猫ちゃんやエキゾチックアニマル、移動や長い待ち時間が負担になりやすい高齢の子にとっては、動物病院への通院そのものが高いハードルとなり、治療を諦めてしまう場合があります。 「動物病院へ行こうとキャリーに入れたらパニックになり、結局行けなかった」 「院内が混んでいると他の子に吠えてしまい待つのがつらい」 「高齢で動かすのがかわいそう。移動で疲れてしまわないかな?」 そんな悩みをよく耳にします。 また、飼い主さんの高齢化や共働き世帯が増えたことにより、飼い主さん側の理由で通院できないこともあります。 そうした様々な止むを得ない理由により、動物病院でのケアが受けられないペットたちに対応すべく、訪問診療を専門にしている獣医師が、近年少しずつ増えてきています。いわゆる「往診専門の動物病院」です。 また、コロナ禍での外出自粛による在宅時間が長くなったことで、動物の往診を利用する飼い主さんも増加しています。 往診専門の動物病院は、そうした時代のニーズに合ったサービスであり、今後ますます発展していく分野だと考えられます。 とはいえ、動物病院への通院が一般的で、動物の往診について詳しいことは知らない、知っていてもまだ利用したことがないという飼い主さんも多いのではないでしょうか。 「老犬で足腰が立たなくなり通院が大変で困っていたら、家族がネットで調べてくれて知りました」 「毎年ワクチン接種のために苦労して病院へ行っていましたが、来てくれてとても助かりました」 というような、もっと早く知っていればよかったとのお声も多くいただきます。 本稿では、通院に伴う悩みを抱えていながらも動物の往診サービスを利用したことがない飼い主さんへ、往診専門の動物病院がどのようなものかご紹介します。 『動物の往診を身近に① 〜動物の往診でできること、できないこと〜』 動物を対象にした訪問診療は、いったいどのようにして行われるのでしょうか。 また、どんなケースが往診に適しているのか、逆にどんなケースでは往診が向かないのでしょうか。 どこで診察するの? 獣医師が必要な道具を全てご自宅へ持っていきますので、ペットが普段過ごしているお部屋で診察できます。玄関や廊下などでもスペースがあれば診察できます。屋外にいる子であれば、そのまま外で診ることもあります。専用の往診車がある場合、往診車内で検査や治療が受けられることもあります。 どんな準備が必要? ペットが落ち着いて診察を受けられるようであれば、特別な準備は必要ありません。来訪者が苦手な子の場合は、過ごし慣れたケージなどに入れて待つといいでしょう。獣医師1名または看護師と一緒に訪問することが多いです。看護師が付かない場合、診察の際に抱っこや保定など補助をお願いすることがあります。ペットシーツやバスタオルがあると便利です。 どこまでの検査ができるの? 基本的な身体検査(視診、触診、聴診など)や、顕微鏡を使った検査(尿、便、皮膚など)、眼の検査、血圧測定、血液検査、超音波検査といった、診察室で行われる検査のほとんどができます。 レントゲン検査はできません。診察した上で必要と判断したら、検査が可能な一般動物病院をご紹介することがあります。 ※可能な検査内容は病院によって異なります。事前にご相談ください。 どんな治療ができるの? 予防医療(ワクチン接種、フィラリア、ノミダニ) 眼・耳・皮膚の治療 下痢や嘔吐など内科疾患に対する飲み薬の処方、注射(皮下注射、筋肉注射、静脈注射)、点滴(皮下補液) 呼吸器疾患に対する酸素吸入、ネブライザー吸入、胸水抜去など 床ずれや軽度のケガに対する治療 慢性疾患や腫瘍などでのターミナルケア マッサージやリハビリテーション 食事管理やトイレ環境などの飼育相談 などができます。 問題行動の相談や鍼灸治療を専門的に取り扱っている病院もあります。 ※可能な治療内容は病院によって異なります。事前にご相談ください。 往診が向かないケースは? 異物誤食や骨折の疑いがあるなど、レントゲン検査が必要な場合 呼吸が苦しい、意識がないなど急に状態が悪化している場合 症状が重篤で、入院が必要な場合 抗がん剤治療 外科手術 などは往診で対応できない可能性が高いので、一般動物病院をご紹介することがあります。予約時に症状を伝えて確認しましょう。また、往診の特性上、おおががりな検査機器は持ち込めません。精度の高い検査(詳しい超音波検査、内視鏡検査など)が必要な場合もかかりつけ動物病院との連携が必須です。 来訪者が苦手ですが往診してもらえる? よほど暴れてしまったり攻撃的でない限り大丈夫です。しかしながら、猫ちゃんの場合、高いところや家具の裏などに隠れてしまって出てこず、診察できないケースもありますので、診察前に洗濯ネットに入れて待つと慌てないですみます。人に慣れていなくペットに触れない場合は、問診のみ行う場合があります。 かかりつけ動物病院で治療中でも相談できる? かかりつけで診断を受けていたり治療中であっても大丈夫です。検査結果や治療の内容がわかるもの(お薬の袋や診療明細書など)があるといいでしょう。たとえば慢性腎不全では継続的な皮下補液が必要です。治療の状況を伝えた上で皮下補液だけを往診獣医師に依頼しても問題ありません。このように、かかりつけ動物病院と往診獣医師が治療内容を共有することで、より包括的なケアが実施できます。 動物保険に加入しているが保険は使えますか? 一部の往診専門動物病院では窓口精算を行っていますが、窓口精算ができない病院もあります。お手数ですが各病院へお問い合わせ願います。診療費や往診費が保険適用かどうかは、加入している保険会社へ確認するといいでしょう。 いかがでしたでしょうか。 このように往診の特性上、どうしても制限はありますが、ご自宅だからこそできることも沢山あります。 「通院が大変だし、病院に行くのどうしよう」と迷っている間に症状が悪化してしまうことも。 お困りの際は、ぜひお近くの往診専門動物病院へご相談ください。 ※紹介した診察内容や料金等の設定は病院ごとに異なります。詳細は各往診専門動物病院へお問い合わせください。
本日4月27日、往診獣医師協会が一般社団法人として新たなスタートを切ることになりました。 これまで私たちは、往診獣医師協会というコミュニティで、往診獣医師や往診開業を考えている獣医師で情報交換などを行ってきました。 一般の病院と違い、往診獣医師は飼い主様のご自宅に伺って診察をするため、診察のやり方や処置の仕方などに少し工夫が必要です。それぞれの先生が独自に工夫してきたことを共有することで、より様々な状況に対応ができるようになってきます。 また、私たちは1日に診察できる患者様の数が限られてしまうため、近くの往診の先生と連携して診察を行うことも目指してきました。 このようなこれまでの活動はもちろんの事、今後は一般社団法人となることで、さらに大きな目標を持って活動することになります。 たとえば、往診診療が広く認知され、飼い主様のニーズに対応できる往診獣医師が増えていくことで、これまで動物を飼うことが難しいと思われていた世代の方が、動物と暮らすことが可能な社会を実現したいと思っています。また、高齢な飼い主様のお宅に定期的に診察を行うことでペットの診療と同時に「飼い主様の見守り」といった社会貢献活動も担っていくことができると考えています。 飼い主様の気持ちに寄り添いながら、飼い主様と共にペットの一生を見守っていくこと。それが私たち往診獣医師の共通の思いです。 おうちのペットの健康や介護についてお困りの事がありましたら、お近くの往診獣医師に一度相談してみてくださいね。(会員病院は順次公開予定です。)