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飼い主様向けコラム

診療日記 カルテNo.1

大型犬のトイレ問題 寝たきりになったらどうしよう!?

それは、14歳のスタンダードプードルの飼い主さんからのお電話でした。

なんと3日間おしっこが出ていない、とのこと。

えええ、、3日間もおしっこ出ないの?ほんとうに??

驚きながらも経過を詳しく聞くと、数日前から急な眼球振盪とふらつきで立つことができず、寝たきりになってしまったそうです。

体重が24kgあり、飼い主さん(女性)が抱えて車に乗せられず、通院が困難に。

近所のかかりつけ動物病院でお話だけしたら、おそらく特発性前庭疾患だろうということ。

激しい嘔吐でごはんもお水も摂取できていないため、点滴剤と注射セットをもらって、発症からの3日間は自宅で皮下補液をしている。ということでした。

ところが3日目になっても、おしっこが出ない!

かかりつけでは往診をやっておらず、インターネットで往診動物病院を探して、こちらへ電話をしたのだそうです。

膀胱におしっこが溜まっているかどうか、診てほしい。

おしっこが溜まっているなら圧迫やカテーテルで出してほしい、とのご依頼でした。

緊急性が高いと判断し、お電話の後すぐに往診へ。

診察をしてみると、膀胱はパンパンになって硬く張っていました!

これは、かなりつらそうだ、、、。

この子は普段の排尿はお外でしているとのこと。

どうやら自力で立ち上がれないこともあって、トイレを我慢してしまっていたようです。

これ、けっこう大型犬あるあるなんです。

普段、お散歩中に外で排泄している子は、外に出るまでずっとおしっこを我慢してしまうんですよね。

けれども具合が悪くて立てない大型犬を、外に連れて行くのは至難の業です。

もし入院中であれば、尿道カテーテルを設置してしまうところです。

このスタンダードプードルさんも、カテーテルを通して尿を抜いてあげることにしました。

(硬くパンパンに張った膀胱に対して圧迫排尿をすると、膀胱に過度な圧力がかかり破裂してしまうことがありますので注意が必要です。)

カテーテルを入れるとすぐに尿が出てきました。

何度もシリンジで引いて、どんどん抜いていきます。

抜いても抜いてもなかなか空になりません。

ペットシーツがどんどん重たくなっていき、、、

なんと、700cc近く、抜けました!!

1日に250cc点滴をしていたので、摂取した水分くらいは尿が溜まっていたようです。

抜去後は、下腹部がすっきりペタンコになっていて

こんなに溜まってたんだね!と飼い主さんも驚いていました。

今回、おしっこが出ない原因は単に我慢していただけ、ということになりますが、我慢しすぎると腎臓に負担がかかってしまいます。

また、尿道結石が詰まって尿が出ない場合(尿道閉塞)、早急におしっこが出るように詰まりを解除してあげなければ命に関わります。

そのほか、尿が作られていなくて出ていない、ということであれば急性腎不全の可能性もありこちらもすぐに治療が必要です。

このスタンダードプードルちゃんは、その後も自然に出せるようになるまで毎日カテーテルで尿を抜くことになりましたが、現在は前庭疾患の症状もおさまり問題なく排尿できています。

後日の血液検査で腎臓に異常がないことも確認できましたので、ほっとひと安心でした。

1日以上おしっこが出ていない、という場合は、すぐに治療を受けるようにしましょう。

通院が難しい場合は、迷わず往診専門動物病院へご相談ください!

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