執筆者:往診専門犬猫クリニックあしおと 院長 下瀬 昭広 「ノミ・ダニ予防だけなのですが…」どこか申し訳なさそうに往診のご依頼をされる飼い主様がいらっしゃいます。 確かに、往診では寝たきりの子、移動手段がない子たちを診察する機会が多いのですが、健康な子の病気の予防にも力を入れているので、お気軽にご予約ください。何かと忙しい春先は、フィラリア予防や狂犬病予防などで動物病院も混み合います。「忙しくて時間が取れない。」「元気は良いから、つい後回しになってしまう。」「多頭飼いだから大変。」そんな方も、往診ならご希望の時間にお家でリラックスして予防を行えます。もちろん、狂犬病予防注射やフィラリア病予防、混合ワクチン接種などと同時にご依頼いただけます。 暖かい春の季節は、お散歩でノミ・マダニが寄生するリスクが増えます。 ノミは気温や室温が13℃以上で繁殖をはじめ、20~30℃でさらに大量に繁殖します。ノミアレルギー性皮膚炎を起こすだけでなく、瓜実条虫という寄生虫の感染経路にもなります。また、子犬や子猫やシニア犬に大量に寄生し吸血することで貧血の原因にもなります。 マダニも春から秋にかけて活発になり、犬バベシア症や猫ヘモプラズマ症など犬や猫に関わる病気の感染源になります。 さらに、人間に対しても、近年、国内で複数の死亡例が確認されたSFTS(重症熱性血小板減少症候群)など恐ろしい伝染病を運んできます。 身の回りにあって実は怖いノミ・マダニの予防は、健康で幸せな生活に欠かせません。春の大事な予防をもっと身近に、往診でそんなお手伝いができれば幸いです。
執筆者:イース往診どうぶつ診療所 院長 木口 久幸 休み明けのある日、連日明け方3~4時まで働いた疲労の名残を腹にためながら、入院処置室の扉を開けると、点滴されている白猫が嘔吐しているのに出会わしました。それは獣医にとってはよくある場面なのですが、黄色っぽい吐物の中に見覚えのある物があります。 アセビ(馬酔木)の花です。知らない人には花に見えないような花ですが、「馬酔木」の字の通り、馬をも倒すほどの猛毒です。2~4月に白や薄いピンクの花を咲かせ、スズランに似ていて、公園や街路樹として見かけます。 その猫が吐いたのは花がら1つでしたが、それだけでも1頭の猫を瀕死の状態に追い込むのに充分だったのかもしれません。飼い主様にお聞きしたところ、かわいい鉢植えだからと誕生日に友人から贈られたそうです。幸い、その猫は回復し事なきを得ましたが、もし亡くなっていたら、そのご友人もどうしてよいか分からないぐらい不幸なことになっていたかもしれません。 私は少し歳をとってから大学に入り直し、獣医になりましたが、その前は小さな花屋をやっていました。場所も時代も違いますが、花屋さんで自分の扱っている花が、動物たちにどんな害を与えるか、知識を持っている方は皆無に近いでしょう。 獣医でも動物に毒性を持つ花の全てを知っている人は少ないかもしれません。今はスマホ1つで、大概のことは調べられます。(埼玉県上尾市の井上動物病院のHPにある「ペットに危険な植物」はお勧めですよ) これからの季節、クリスマスシーズンになれば街も華やかになり、ポインセチア、シクラメンなど窓辺に飾ると素敵ですね。でも、その花大丈夫?お気を付けください。
執筆者:まりこ動物往診所 院長 竹野 まりこ 膀胱炎には細菌性や特発性のものがあります。膀胱炎は、全年齢で起こりうる病気です。症状としては、頻尿、血尿、排尿困難、排尿痛、トイレ以外での排泄、二次的におこる尿道閉塞などが見られます。細菌性膀胱炎は、通常無菌的な膀胱内へ細菌が逆行感染することでおこります。尿道が長いオスよりもメスがなりやすい傾向にあり、犬では尿路感染症が主に関係し、猫では糖尿病や副腎皮質機能亢進症、慢性腎臓病、Felv/FIVなど基礎疾患がある場合もあるため、膀胱炎を疑う際には、検診など定期的に受診し他の病気がないかも見てあげましょう。 また特発性膀胱炎は、一般的に猫にはもっとも多いといわれており、その原因は動物を取り巻く環境的な要素が大きく、ストレスの強い生活をすることで発症します。特に飲水量が少なくなるようなドライフードのみの食生活や、飲水量が減少する季節の変わり目、トイレが清潔でない(気に入らない)、排尿を我慢させてしまう環境、肥満や神経質な性格なども要因としてあげられます。最近では飼育環境によるストレスや、食生活が原因のヤギの膀胱炎や尿石症(ひどい場合、尿閉になることも)も往診時によく見かけます。 これから寒くなる季節ですので、十分な飲水量の確保や、ストレスの少ない環境づくりなど、今一度振り返ってみてあげてください。往診では、ご自宅の飼育環境やいつもの動物たちを直に飼い主様と同じ目線で獣医師が共有できるので、一緒に考え問題解決に取組めます。お気軽にご相談ください。 また、年1~2回の定期的な健康診断(尿検査も含めて)は、症状が出る前の健康な個々の身体の状態(基準)を知ることでその子の病気の早期発見にも役立ちます。ぜひ、定期的な検診受診をお勧めします。
執筆者:メープルファミリー動物病院 院長 朝井 鈴佳 皮膚病に悩まされている犬猫が多い昨今、「皮膚病も往診頼めますか?」とお問合わせをいただくことがあります。緊急でも重病でもないのに往診頼んでいいのかな?と言うことなのですが、答えは「イエス!」です。 これまでに往診で出会った皮膚病の犬猫の中には、車に乗るだけで下痢や嘔吐する子、動物病院だと震えが止まらない子、車に乗せるのも大変な超大型犬や高齢の子たちがいます。またお子さんが小さくて動物病院に行く時間がない飼い主様や、運転免許証を返納されて動物病院に行く手段がない飼い主様など、往診ご依頼の理由は様々です。でも、そのような明確な理由がなくても皮膚病の往診はしています。 皮膚患部の診察をしながら、ご自宅でたくさんのお話をしていると、環境や食べ物などの見直しのヒントも出てきます。その結果、皮膚症状の良化だけでなく体質改善にもつながり、徐々に犬猫が元気になってくることもよくあります。また先日ご依頼があったのは、急に皮膚が真っ赤になった子の往診です。実はホットカーペットによる低温やけどだったのですが、その場で原因がわかり早急な対応ができたので、大事には至りませんでした。(低温やけどは命に関わるケースもありますので、皆様くれぐれもお気を付けください。) ご依頼を受けても日程や場所、犬猫の性格などを総合的に考慮した結果、心苦しくもお断りする場合もあります。でも往診のハードルはそんなに高くありません。「往診してもらえるかな?」と迷ったら、まずは気軽に問い合わせていただくことがとても大切だと思います。
執筆者:往診専門 森のくま動物病院 院長 大熊 慶子 「呼吸が苦しい」犬猫は、往診にはとても多い症例です。息が苦しい動物がカゴに入れられ、乗り物に乗って、待合で待って、知らない診察室で知らない人に囲まれるのは大変なこと。 ある高齢のチワワは、僧帽弁閉鎖不全症で肺水腫になり、行きつけの病院で「もうできることはない」と言われたそうです。最大量の心臓のお薬をもらっていました。肺水腫の治療は水を落とすこと。ここから先は、多量の利尿剤を注射して肺の水がなくなるようにするという治療になりますが、心臓はラクになっても脱水が腎臓に負担をかけるので、血液検査と入院治療が必要になります。 入院中に死亡することもあるので、 もう治療をしないでおうちに帰る判断も妥当でした。 一か八か、おうちの酸素室で飼い主さんに利尿剤を飲ませてもらい、 呼吸の苦しさの指標である、寝ている時の呼吸数をLINEで知らせてもらいお薬を増減しました。すると夜も眠れない苦しさだったのが、肺水腫から離脱することができたのです。腎臓の数値も問題ありませんでした。 これはとてもうれしいことでした。ご自宅にも酸素室は設置でき、 往診にもエコーと血液検査機器はあり、そして何より飼い主さんが大変優秀な動物看護士さんであった ことから、リモートで動物病院に入院しているような治療ができるのです。 心臓病、腫瘍、甲状腺の病気などで、胸水のたまる猫の治療も多く行っています。内科疾患の末期は良くなることばかりではありませんが、おうちで飼い主さんと二人三脚で、動物のために一番よいと思われる次の一手を打っていく、往診治療に大変やりがいを感じています。
2023.12月より飼い主様に寄り添う往診獣医師協会の情報誌「Cerca」を発刊いたしました。つきましては、配布・設置にご協力いただける企業・団体・施設様を募集いたします。要項は以下のとおりとなります。 ●発刊の目的動物病院に行けないどうぶつと飼い主様にとって、「往診」という選択を常識に。というミッションを実現するために、当協会について広く知っていただくため。また飼い主様に有益な情報を提供し、何歳になってもペットと共に暮らせる社会の実現と終生飼育をサポートするため。 ●仕様B5サイズ、全8ページ。本創刊号が12月、以降3カ月ごとに発刊いたします。 ●掲載内容協会獣医師によるコラム 5本プレゼントキャンペーンご賛同企業様の広告など ●応募方法本ホームページのお問合せフォームより、ご協力いただける部数(50部単位)と、ご予定いただいている配布・設置先名をお送りください。担当者より追ってご連絡させていただきます。
当協会は往診獣医師の輪をさらに拡げるべく、来る2024年2月4日(日)に懇親会を開催します。 すでに往診開業している先生の他、開業はしていないが往診に興味をお持ちの先生方も多数参加予定です。 非会員の獣医師、企業様におかれましては、下記フォームよりお申し込みください。 ぜひ、お気軽にお誘い合わせの上、ご参加いただきますようお願い致します。 【概要】日時 2024年2月4日(日) 15時〜17時場所 小田急ホテルセンチュリーサザンタワー 〒151-8583 東京都渋谷区代々木2-2-1 【参加費】〈獣医師〉A会員 5,000円B会員 8,000円非会員 10,000円〈企業様〉賛助会員 30,000円/人その他 50,000円/人 支払い方法:申し込みフォーム記入後、振込口座を事務局よりご連絡致します。 申し込み期日:1月20日まで 支払い期日:1月30日まで キャンセルに関して:2月1日まで可能、振り込み手数料を除いた金額を返金致します。以降のキャンセルにつきましては会費のご負担をお願いします。 【申し込みフォームはこちら】https://docs.google.com/forms/d/1fwFUhx7C9RVZfYon2AmRVixdBZuBlgEst9aOCpT-_6w/edit 尚、ご不明な点やご質問がございましたら協会事務局contact@jhvca.orgまでご連絡ください。 往診獣医師協会 事務局
往診の獣医師たちが集まる協会「一般社団法人 往診獣医師協会」では、年に4回、フリーペーパーを発行することにいたしました。獣医師協会なんて堅苦しいイメージがあるかもしれません。私たちは、一般的な動物病院を飛び出して、「往診」としてご自宅で診察をすることが大切だと思う獣医師です。 ●なぜご自宅での診察が大切なのか?往診というと、寝たきりのシニアの子や動物病院が嫌いな子、通院が難しいような高齢の飼い主様が利用するイメージが強いかもしれません。でも、動物病院では緊張してしまって普段の様子を見せてくれない子も、実はご自宅で診察することで普段の様子を観察することができます。いつもいるお部屋の様子から、ちょっとした生活のアドバイスをすることができるのも往診ならではだと思います。 ●往診はどうやってお願いするの?何か準備は必要?往診で診察を希望する場合、協会ホームページからご自宅近くの往診専門動物病院を検索してみましょう。そこから各先生の病院ホームページに飛ぶことができます。 まずは電話やメールなどで気になる症状などを問い合わせてみてください。ほとんどの先生が車で診察に伺っています。車を停められるスペースをお知らせください。ご自宅では動物さんと飼い主様、獣医師がいられるスペースがあればどこでも診察が可能です。問い合わせの際に診察場所についても相談してみてくださいね。 ●往診専門獣医師の思い往診専門獣医師は、動物たちが何歳になっても、飼い主様が何歳になっても、きちんとした獣医療を提供し、最期の時が来るまで穏やかに過ごせるサポートをしたいと考えています。時には往診だけではサポートできず、近隣の動物病院へ協力をお願いすることもあるかもしれませんが、 飼い主様が不安な気持ちになる時はゆっくりとお話を聞いて可能な限りアドバイスさせていただきます。おうちの子の幸せを叶えるために、飼い主様と一緒に往診獣医師が寄り添うことができたら幸せです。
往診獣医師協会の獣医師が、Sippo Festa 2023 に参加します! https://sippofesta.com/ ----- 開催日時:2023年6月24日(土)10:00-17:30、25日(日)10:00-17:00 会場:国営昭和記念公園みどりの文化ゾーンゆめひろば ----- 往診獣医師協会の獣医師によるわんちゃん健康相談会を行います。 開催場所:わんちゃん健康相談会ブース時間:終日相談料:無料予約不要(混雑している場合はお待ちいただく場合がございます) ----- わんちゃんのことで疑問やお悩みのある方、お気軽にお越しください✨ 往診ってどんな感じなのだろう…と興味はあるけどなかなか踏み出せない方も、 実際に往診の先生に会って、気になることを聞いたり雰囲気を感じてくださいね🍀 みなさんにお会いできるのを楽しみにしています!!
ヒトの世界では良く聞かれるようになってきた「緩和ケア」という言葉をご存じですか? 緩和ケアは治療を諦めること、がんの末期で受けるもの、と思っている方もまだまだ多いと思います。 がんになると、がん自体の症状以外にも、痛み・倦怠感などの身体の不調や、落ち込み、悲しみなどの精神的な苦痛を経験するといわれています。これらの身体的・精神的な苦痛を和らげるのが緩和ケアです。ヒト医療ではがんと診断された時から、並行して行われるようになってきています。また、がん以外の慢性病にも、この概念が定着しつつあります。 緩和ケアのメリットは下記↓↓ ・病気を知り、治療の選択を助けること(←ペットの場合、ご家族の選択) ・身体を楽にすることで日常を取り戻す、がん治療に取り組みやすくなる ・心の辛さを和らげることで前向きになる(←ペットの場合、ご家族が前向きになることで空気察知する能力の高いペット自身の不安が少なくなる) 動物も同じです。緩和ケアは諦めることではなくて、その子がその子らしく毎日を過ごすために必要なことです。 がんでも、その他の治らない病気でも、闘病中に身体は楽なほうが良いし、できる限り好きなことをして過ごしたいし、家族が辛い顔をしている時間が少ないほうが良い。大好きなおうちに居られる時間が長いほうが良い。 往診は、ご自宅に伺うので、ペットの生活環境について気付けることが多い・飼い主様が質問しやすい環境・通院ストレスがない、などのメリットがあります。闘病中のペットと暮らす皆様の、力になれるかもしれません。困りごとがあれば、ぜひご相談ください! ※写真は鼻腔内リンパ腫で闘病中の猫ちゃん。毎日大好きなマグロを食べ、お気に入りの洗面台で水を飲み、マイペースにおうちで過ごしています!!
かかりつけ動物病院は決まっていても、さまざまな理由により通院が困難になることがあります。 いざというときに自宅まで来てくれる獣医師がいれば、とても安心ですよね。 では、どんなときに往診を利用するといいのでしょうか。 本稿では、ぜひ動物の往診を活用していただきたいシーンをご紹介します。 高齢で通院による負担が気になる、自宅でできるケアについて悩んでいる 人と同じように動物も、高齢になるにつれ通院や長い待ち時間が負担になってきます。 予防接種や健診(レントゲン検査を使わないもの)、食事など普段のちょっとした相談は往診でも可能です。 かかりつけ動物病院とうまく併用し、なるべくペットの負担を減らしてあげましょう。 高齢な子の場合、とくに以下のようなご相談が多いです。 夜鳴きや徘徊(同じところをぐるぐる回ってしまう)などの認知症症状がある子との過ごし方 寝たきりの子のトイレやシャンプーなどのお世話、ベッドの作り方や床ずれ予防について 食欲不振に対する点滴や、シリンジでの流動食給餌(強制給餌)について 癌などによる痛みのコントロール ターミナルケア(終末期医療) 動物病院や外出そのものが苦手なので、自宅で安心して診察を受けさせたい 動物病院では不安やストレスから、吠えたり暴れてしまったり診察に協力できない子もいます。 しかし往診では、自宅でリラックスした状態で診察を受けられるので、検査や処置がスムーズに終わりますし、ペットに余計な不安や恐怖を与えずに済みます。 また、お散歩が要らない猫はお年寄りや単身者でも飼いやすく、飼育頭数が年々増加していますが、基本的に猫は慣れない場所への外出が苦手な動物です。通院のためにキャリーバッグに入れるだけで一苦労、という方も多いのではないでしょうか。近年人気が出ているうさぎやモルモット、インコなどの小動物も、温度変化や環境の変化が命取りになり得るため自宅での診察が好まれています。 他の動物との接触を避けたい 猫や小動物の場合、他の動物の鳴き声にストレスを感じる子が多く、動物病院が苦手な一因となっています。 犬の場合は、他の犬を見ると警戒心や遊びたさからずっと吠え続けてしまう、という子も珍しくありません。 往診では他の動物との接触が一切ありませんので、動物にとっても飼い主さんにとってもストレスなく診察が受けられます。 また、接触を避けることで感染症対策としても有効です。 椎間板ヘルニアや手術後のリハビリをしたい 椎間板ヘルニアで麻痺が残っていたり、膝の手術を受けていたり、からだが不自由な子を抱えて通院するのは飼い主さんも大変です。自宅でマッサージやリハビリが受けられればペットの負担も減らせます。 リハビリや鍼灸治療を専門に扱っている往診専門動物病院もあります。 かかりつけ医と連携して治療の選択肢を広げたい 腎不全などの慢性疾患では、日常的に点滴治療をしなければならない場合も多くあります。 定期検査はかかりつけ動物病院で受け、日々の点滴(皮下補液)は往診動物病院に依頼する、といった使い分けをすることで、動物にとっても飼い主さんにとっても無理なく治療を続けることができます。 また、末期の腫瘍などにより、手術や入院などの積極的な治療ができない場合でも、往診で痛みのコントロールや補助的な点滴治療を行うことができます。 飼育環境をふまえたアドバイスをして欲しい 往診では、ご自宅での過ごし方や、食事内容・トイレ・ベッドなどの飼育環境について、実際に見ることができるため的確なアドバイスが可能です。 とくに猫の膀胱炎や尿石症では、トイレ環境の改善が必要であることが多く、トイレの数や設置場所に悩んでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか。 また、せっかく食事療法をしているのに、ご自宅に伺うとおやつが置いてあったりすることも。 適切な管理ができているか、飼い主さんが見落としていることも獣医師が実際に見てアドバイスできます。 老犬の介護ではベッドのつくりかたのご相談も多いです。 仕事や子育てが忙しく急な通院に対応できない、待ち時間がもったいない 共働き世帯の増加や核家族化により、現代人は何かと忙しく時間に追われがちです。 ペットの体調が急に悪くなってしまったが動物病院へ連れて行く余裕がないときは、自宅で診察を受けられると便利です。通院を先延ばしにすると症状が悪化する可能性がありますので、そんな時はぜひ往診専門動物病院に相談しましょう。 狂犬病予防接種やフィラリア予防など動物病院が混み合う時期にも、往診なら待ち時間なく診察が受けられます。 このように動物の往診は、動物にとっても飼い主さんにとっても、通院の負担を減らすことができるとても便利なサービスです。 通院が負担と感じることが少しでもあれば、まずはお近くの往診専門動物病院へご相談ください。
動物病院にペットを連れて行きたいけど、通院が大変だなぁ、と感じたことはありませんか? 今日では、犬や猫などの小動物も、人と同じように病院でワクチン接種を受けたり、病気になったら検査や治療を受けることは当たり前となりました。しかし、外出が苦手な猫ちゃんやエキゾチックアニマル、移動や長い待ち時間が負担になりやすい高齢の子にとっては、動物病院への通院そのものが高いハードルとなり、治療を諦めてしまう場合があります。 「動物病院へ行こうとキャリーに入れたらパニックになり、結局行けなかった」 「院内が混んでいると他の子に吠えてしまい待つのがつらい」 「高齢で動かすのがかわいそう。移動で疲れてしまわないかな?」 そんな悩みをよく耳にします。 また、飼い主さんの高齢化や共働き世帯が増えたことにより、飼い主さん側の理由で通院できないこともあります。 そうした様々な止むを得ない理由により、動物病院でのケアが受けられないペットたちに対応すべく、訪問診療を専門にしている獣医師が、近年少しずつ増えてきています。いわゆる「往診専門の動物病院」です。 また、コロナ禍での外出自粛による在宅時間が長くなったことで、動物の往診を利用する飼い主さんも増加しています。 往診専門の動物病院は、そうした時代のニーズに合ったサービスであり、今後ますます発展していく分野だと考えられます。 とはいえ、動物病院への通院が一般的で、動物の往診について詳しいことは知らない、知っていてもまだ利用したことがないという飼い主さんも多いのではないでしょうか。 「老犬で足腰が立たなくなり通院が大変で困っていたら、家族がネットで調べてくれて知りました」 「毎年ワクチン接種のために苦労して病院へ行っていましたが、来てくれてとても助かりました」 というような、もっと早く知っていればよかったとのお声も多くいただきます。 本稿では、通院に伴う悩みを抱えていながらも動物の往診サービスを利用したことがない飼い主さんへ、往診専門の動物病院がどのようなものかご紹介します。 『動物の往診を身近に① 〜動物の往診でできること、できないこと〜』 動物を対象にした訪問診療は、いったいどのようにして行われるのでしょうか。 また、どんなケースが往診に適しているのか、逆にどんなケースでは往診が向かないのでしょうか。 どこで診察するの? 獣医師が必要な道具を全てご自宅へ持っていきますので、ペットが普段過ごしているお部屋で診察できます。玄関や廊下などでもスペースがあれば診察できます。屋外にいる子であれば、そのまま外で診ることもあります。専用の往診車がある場合、往診車内で検査や治療が受けられることもあります。 どんな準備が必要? ペットが落ち着いて診察を受けられるようであれば、特別な準備は必要ありません。来訪者が苦手な子の場合は、過ごし慣れたケージなどに入れて待つといいでしょう。獣医師1名または看護師と一緒に訪問することが多いです。看護師が付かない場合、診察の際に抱っこや保定など補助をお願いすることがあります。ペットシーツやバスタオルがあると便利です。 どこまでの検査ができるの? 基本的な身体検査(視診、触診、聴診など)や、顕微鏡を使った検査(尿、便、皮膚など)、眼の検査、血圧測定、血液検査、超音波検査といった、診察室で行われる検査のほとんどができます。 レントゲン検査はできません。診察した上で必要と判断したら、検査が可能な一般動物病院をご紹介することがあります。 ※可能な検査内容は病院によって異なります。事前にご相談ください。 どんな治療ができるの? 予防医療(ワクチン接種、フィラリア、ノミダニ) 眼・耳・皮膚の治療 下痢や嘔吐など内科疾患に対する飲み薬の処方、注射(皮下注射、筋肉注射、静脈注射)、点滴(皮下補液) 呼吸器疾患に対する酸素吸入、ネブライザー吸入、胸水抜去など 床ずれや軽度のケガに対する治療 慢性疾患や腫瘍などでのターミナルケア マッサージやリハビリテーション 食事管理やトイレ環境などの飼育相談 などができます。 問題行動の相談や鍼灸治療を専門的に取り扱っている病院もあります。 ※可能な治療内容は病院によって異なります。事前にご相談ください。 往診が向かないケースは? 異物誤食や骨折の疑いがあるなど、レントゲン検査が必要な場合 呼吸が苦しい、意識がないなど急に状態が悪化している場合 症状が重篤で、入院が必要な場合 抗がん剤治療 外科手術 などは往診で対応できない可能性が高いので、一般動物病院をご紹介することがあります。予約時に症状を伝えて確認しましょう。また、往診の特性上、おおががりな検査機器は持ち込めません。精度の高い検査(詳しい超音波検査、内視鏡検査など)が必要な場合もかかりつけ動物病院との連携が必須です。 来訪者が苦手ですが往診してもらえる? よほど暴れてしまったり攻撃的でない限り大丈夫です。しかしながら、猫ちゃんの場合、高いところや家具の裏などに隠れてしまって出てこず、診察できないケースもありますので、診察前に洗濯ネットに入れて待つと慌てないですみます。人に慣れていなくペットに触れない場合は、問診のみ行う場合があります。 かかりつけ動物病院で治療中でも相談できる? かかりつけで診断を受けていたり治療中であっても大丈夫です。検査結果や治療の内容がわかるもの(お薬の袋や診療明細書など)があるといいでしょう。たとえば慢性腎不全では継続的な皮下補液が必要です。治療の状況を伝えた上で皮下補液だけを往診獣医師に依頼しても問題ありません。このように、かかりつけ動物病院と往診獣医師が治療内容を共有することで、より包括的なケアが実施できます。 動物保険に加入しているが保険は使えますか? 一部の往診専門動物病院では窓口精算を行っていますが、窓口精算ができない病院もあります。お手数ですが各病院へお問い合わせ願います。診療費や往診費が保険適用かどうかは、加入している保険会社へ確認するといいでしょう。 いかがでしたでしょうか。 このように往診の特性上、どうしても制限はありますが、ご自宅だからこそできることも沢山あります。 「通院が大変だし、病院に行くのどうしよう」と迷っている間に症状が悪化してしまうことも。 お困りの際は、ぜひお近くの往診専門動物病院へご相談ください。 ※紹介した診察内容や料金等の設定は病院ごとに異なります。詳細は各往診専門動物病院へお問い合わせください。