執筆者:はる動物診療所 院長 櫻井 崇史 往診では立つことが難しい子の診察を依頼されることはよくあります。 寝たきりに近い状態になったときに、気になってくるのが床ずれ(褥瘡)の問題です。体重の減少・筋力の低下から骨ばったところに力がかかり続けると、血流が悪くなり壊死してしまいます。ワンちゃんにとっても飼い主様にとっても毎日の生活の質が著しく下がる疾患なので、知識として頭の片隅に入れておきましょう。 ●どんな症状? 皮膚が赤くなっている、触っているときに被毛が湿っている等で気が付いて連絡いただくことが多いです。犬猫の床ずれは、被毛が固まりカサブタのようにみえますが、壊死してしまった部分は、皮膚を取り除くと筋肉や骨が露出しています。また、細菌の感染がある場合、押すとクリーム色っぽい膿が出てくることもあります。お尻や肩、手首、頬のあたりのように痩せたときに骨が触れる場所にできやすいです。 ●床ずれになってしまったら 床ずれのようなものを見つけたら、できるだけ早く獣医師に相談してください。自宅にあった軟膏等を被毛の上から塗っている方も散見されますが、壊死してしまった皮膚を取り除き清潔な状態にしてからでなければ、良化はしていきません。必ず最初に獣医師の処置と、今後の指示は受けるようにしましょう。 ●予防・結論 床ずれは表層だけの浅いものでも治療に一か月、骨の露出しているような深いものの場合、数か月間はかかってしまいます。治療よりも予防の方が遥かに容易なので、起立が難しくなってきたら早めに準備をしていきましょう。できれば寝たきりになって困る前に相談してみてください。 滑りづらい床材や、通気性の良い耐圧分散マットの選び方など、往診ではご家族の様子や自宅の環境を見ながらお話できると思います。
2025年2月9日(日)、小田急ホテルセンチュリーサザンタワー(東京都新宿区)で当協会2回目となる懇親会が開催されました。今年も約30名の会員獣医師及び賛助企業様6社が参加され、日頃の診療や病院経営に関する意見交換が行われました。賛助企業様による最新の検査機器や新しい医薬品についての情報提供もありとても有意義な会でした。昨年7月に会員獣医師へ実施されたアンケートをもとにしたスライドディスカッションも大変盛り上がりました。 お忙しい中お集まりいただいた先生方、賛助企業の皆様、誠にありがとうございました。今後も協会活動にご協力賜りますようどうぞ宜しくお願い致します。今回参加できなかった先生方、来年はぜひご参加ください! 往診獣医師協会 理事一同
執筆者:往診専門 リヨン動物病院 獣医師 須田(すだ) 亜矢子(あやこ) 一年を通して動物達の診察をしていると、病気の流行によって季節の移り変わりを感じる事があります。梅雨から夏にかけての暑い時期に増えるのが、皮膚病や外耳炎の痒みで苦しむわんちゃんや猫ちゃん。反対に、寒くなるにつれて増えるのが、「おしっこが出づらい」「血尿が出た」等、おしっこのトラブルを抱える猫ちゃん達です。 尿道や膀胱で起こる様々な疾患を総称して下部尿路疾患と呼びます。寒い時期に猫ちゃんの下部尿路疾患が増えるのは、暑い時期に比べて飲水量が減る事や、寒さによるストレスや活動性の低下が一因であると言われています。 診断への第一歩 下部尿路疾患を診断するための検査として、問診と身体検査、尿検査、超音波検査などを行いますが、お伺いした先の猫ちゃんがお家の中を逃げ回って捕まらなかったり、攻撃行動が激しくて飼い主さんでさえ触れないなど、思うように検査ができないケースも多々あります。尿道閉塞を疑う症状(おしっこが全く出ていない)のように緊急性があると判断した場合は何としてでも捕まえて診察をさせていただきますが、そうでない場合は問診の第一歩として尿検査だけでもさせて下さいとお願いします。 尿沈渣(にょうちんさ:尿を遠心分離して得られる沈殿物)を顕微鏡で観察して、結晶が見つかれば尿石症、細菌が多くいる場合は尿路感染症を疑います。尿比重は飲水量が多いのか少ないのかを判断する手掛かりになりますし、尿試験紙で尿糖が検出されれば糖尿病を疑って精査をおこなうきっかけになります。このように、尿検査から得られる情報は意外とたくさんあるのです。 採尿方法 尿検査をする為には、おしっこを液体のまま採取する必要があります。ペットシーツに吸収されていたり、猫砂で固まってしまったおしっこでは検査はできません。 採尿方法としては、猫ちゃんがおしっこをしようとした瞬間にお玉でキャッチする方法や、採尿する日だけトイレの猫砂を入れないでおく方法などがありますが、神経質な猫ちゃんにはいずれも難しいかもしれません。 システムトイレ(上段に猫砂やチップ、下段に吸水シートを入れる2層式のトイレ)を用いると、下段の吸水シートを抜いておくだけで猫ちゃんに違和感を感じさせずにおしっこを回収する事が出来るのでおすすめです。 定期的な検査で症状の予防を! 下部尿路疾患はどんな年齢、品種、性別の猫ちゃんでも患う可能性のある病気ですが、定期的な検査で状態を知る事により、症状が出る前に適切な対策をとる事ができます。体調管理を万全にして、寒い冬を乗り切りましょう。
動物病院へ行く時間が確保できない、家を離れることができない
大型犬や多頭飼育で病院に連れていくのが困難
どうぶつさんが病院を嫌がる
生活環境も合わせて診てほしい
家で緩和ケアをしたい
家で看取りたい
往診獣医師協会は、往診を通して何歳になってもペットと共に暮らせる社会を目指します。
当協会の活動、理念に賛同いただける方のあたたかいご支援、お待ちしております。
往診獣医師と連携しより良い診療体制を構築したい動物病院、理念に共感し
お力添えを頂ける協賛企業様です。
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日本獣医幹細胞培養上清液研究会
富士フィルムVETシステムズ株式会社
ZENOAQ 日本全薬工業株式会社
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株式会社ランス
株式会社ファームプレス
防音犬小屋レンタくん
株式会社グロービア