執筆者:ポラリス往診どうぶつ病院 院長 松葉 すばる
近年、犬や猫の高齢化が進むにつれ、高齢の子が抱える病気の種類も変わってきました。「がん」「心臓病」「腎臓病」などがわかりやすい病気ですが、これ以外にも気づきにくい病気として「変形性関節症」があります。
変形性関節症は、加齢・体重・品種などの問題によって、関節の軟骨がすり減り、痛みが出てくる進行性の病気です。

成犬の20%、12歳以上の猫の90%が変形性関節症であるという報告もありますが、その大部分が、適切な診断・治療を受けていないということが課題になっています。
それは、長年の生活の中で、変形性関節症のようなゆっくりと進行する「痛み」に気づきづらいことがひとつの原因になっていると思います。
「歩くのが遅くなったね」「階段が登れなくなったね」という気づきはありますが、「歳をとったから、仕方ないよね」と思ってしまうことが多いのではないでしょうか。
往診は、リラックスできる環境でのその子の自然な動きを見ながら診察をすることができるので、獣医師が変形性関節症の可能性にも気づきやすく、また、治療の効果を飼い主さんと自宅で一緒に実感することもできます。更に、自宅の環境整備についてのアドバイスがしやすいのもメリットです。
変形性関節症のお薬も、ここ数年で増えてきました。大切なシニア期を快適に過ごせるようにサポートさせていただくのは往診の得意分野です。小さな気づきをぜひ共有してください。