前回は採尿の方法についてご紹介しました。尿検査でどんなことがわかるのでしょうか。 尿は、血液を腎臓で濾過し、尿細管を通り、膀胱に貯蓄され、尿道を通って排泄されます。 尿検査は腎臓や膀胱などの泌尿器系だけでなく、さまざまな病気の早期発見に役立ちます。 今回は尿検査でどんなことを調べているのかご紹介します。 1、尿の色調と混濁、臭い 正常な尿は淡黄色〜黄色で透明です。極端に薄い、オレンジ〜赤褐色、濁っている、異臭がするなどは注意です。 2、尿試験紙 潜血、ケトン体、ビリルビン、ウロビリノーゲン、たんぱく質、ブドウ糖、PHについて試験紙の色調変化をもとに調べます。尿糖やケトン体が出ていると糖尿病の疑い、潜血やPHの上昇があれば膀胱炎などの可能性を考えます。 3、尿比重の測定 屈折計を用いて尿比重を測定し腎臓の尿濃縮能を確認します。腎機能が低下してくるとおしっこが薄くなってきますので慢性腎臓病の早期発見に役立ちます。 4、顕微鏡による尿沈渣の観察 尿を遠心分離して沈殿したものを顕微鏡で観察します。染色液で染色することもあります。尿結石や結晶、円柱、赤血球や白血球、細菌などの病原体や癌などの細胞が出ていないかを観察します。 尿を調べるだけで体のいろんな情報がわかるのですね。 尿検査は大きな機械が必要ないため、往診でも行うことができます。 しかも尿を提出するだけなのでワンちゃんや猫ちゃんにとって負担がかかりません。 健康診断の一環として尿検査を受けてみてはいかがでしょうか。
以前のブログに書かせていただいた、皮下点滴のセット同様、処方される皮下点滴の針も病院によっていろいろです。 ①ピンクの注射針18G(※数字が小さいほど太い)②緑の注射針21G③緑の翼状針21G わたし個人としては②を処方することが多いけれど、 ①は針が太いので処置時間が短くて済むというメリットもあります。あまり痛がらない子や大型犬で、処置時間を重視するなら①も良いなと思います! 猫などで痩せてきてしまって、注射針だと失敗が増える場合、③がおすすめです!扱いやすいと思います。(←腎不全の猫ちゃんの、80歳のオーナーさんもこれで継続がんばれています✨) もし今、皮下点滴に関する困りごとがあれば、処方してもらう針を替え
すっかり秋も深まり、朝晩の冷え込みも厳しくなってまいりました。 猫ちゃんは寒くなると水をあまり飲まなくなってしまいます。 飲水量が減ると尿路結石や膀胱炎などの泌尿器系疾患を引き起こしやすくなりますので注意が必要です。 トイレの回数が増えた、トイレに座っている時間が長い、血尿などといった症状がある場合には、早めに尿検査を受けるようにしましょう。 ここで問題になるのが「どうやって採尿するのか?」です。 尿検査には不純物が混じっていない液体状態の尿が必要です。 量は5mlほどもあれば検査が可能です。 わんちゃんの採尿は比較的簡単なのですが、猫ちゃんは少し工夫が必要です。 方法①トイレ砂の上に裏返したペットシーツを敷いておき、砂に吸収されないようにする しかしこの方法ではシーツを気にした猫ちゃんが砂をかき混ぜてしまいうまくいかないことも多いです。 方法②おたまで取る おしっこをしているときに、後ろからそっとおたまを差し入れておたまに直接尿を受けます。 採れた尿はスポイトで吸って密閉できる容器に入れます。 お弁当用に売られているプラスチック製の醤油差しが便利です。 方法③採尿用スポンジを使う ウロキャッチャーといって棒の先のスポンジ部分に尿を染み込ませて使います。 おたまと同様に排尿時にそっと後ろから尿を受けます。 染み込ませたらチャック袋などに入れて乾かないようにします。 方法④システムトイレを使う システムトイレは、チップの下がすのこ状になっていて、チップを通り抜けた尿は最下部のペットシーツに染み込むようになっています。 ペットシーツを敷かないでおけば、簡単に液体のままの尿が採取できます。 採取した尿は時間が経つと酸化したり菌が繁殖したりして検査結果に影響が出てしまいます。 診察の直前に採尿できるのが理想ですが、密閉容器で冷蔵保存しておけば半日程度は検査可能です。 往診でも尿検査は可能ですが、事前に採尿をしておくと診察がスムーズです。 いざ採尿という時に困らないよう、どの方法が猫ちゃんに合っているか試しておくといいでしょう。