執筆者:金乃時アニマルクリニック 院長 長江 嶺
高齢なワンちゃんネコちゃんの往診では、手術や抗がん剤治療を受けつつ自宅でフォローをするケースと積極治療をせず緩和ケアに努めるケースがあります。
中でも根治や長期の延命が難しい場合、特に移動が困難な大型犬では、通院をする苦労と在宅ケアの不安との板挟みに悩む方も多くおられます。
実際に往診をしていると、「これは痛みによる行動なのか」「根本治療ができないとしても、急変した場合なにかしてあげられることはあるのか」そういった疑問を抱えながら飼い主さんが在宅でのケアに奮闘されていることを痛感します。
がん=必ず痛みがあるわけではありませんし、痛みの他にも倦怠感や吐き気、下痢など様々な症状に都度対処していかなくてはなりません。
例えば体位変換ができない犬の息が荒くなった時、痛みなのか、呼吸苦なのか、排尿を我慢しているのか、その判断は試行錯誤でわかることもありますが、一番長い時間その子と一緒にいる飼い主さんや、自宅での様子を知る獣医師にしか感じられない変化もあるかもしれません。
往診か病院かを選択する時、どちらかに絞らなければいけないと考える飼い主さんもいらっしゃいますが、全くそのようなことはありません。
手術や入院は病院で、自宅でもできることは往診でと思っていますので、その子や飼い主さんにとって一番楽な選択をしていただければと願っています。