執筆者:よつば動物病院 院長 武波 直樹
人と同じように、犬も猫も熱中症はとても危険な病気です。ある調査では熱中症が一番多いのは6月で次いで5月、7月と続いています。理由としては、この時期はまだ暑さに慣れていないのでより低い気温で発症しやすいということと、本格的に暑くなり始めた8月、9月は飼主さんが十分に気を付けているので発症しにくいからだと言われています。

また散歩や外出時に熱中症になることは想像しやすいですが、室内にいるときに犬も猫も熱中症の症状が出ることが多いと言われています。
熱中症になると体温が上がるので、犬だとハアハアと呼吸が早くなります。猫だとハアハアと口を開けて呼吸しないこともありますが、犬も猫もぐったりと元気がなくなり、息苦しそうにすることが多く、よだれがいつも以上に出ることもあります。

そうなったときに動物病院に連絡することはもちろんなのですが、対処法として常温の水で体を濡らすのが有効です。スプレーで体の表面を濡らしたり、濡れたタオルで体を覆って扇風機で送風したりし、気化熱を利用して徐々に冷却することが有効です。冷水を使うと表面の血管が収縮して温度の高い血液が中にこもってしまい体温がなかなか下がらないので注意が必要です。大切なことなのでもう一度言いますが、『常温の水』です。保冷剤を使う場合はタオルで包み、冷たくても収縮しない太い血管の走っている首元、脇の下、太ももの付け根を冷やしてあげましょう。
熱中症から大切な家族を守るために、ぜひ頭の片隅に留めておいてください。