かかりつけ動物病院は決まっていても、さまざまな理由により通院が困難になることがあります。
いざというときに自宅まで来てくれる獣医師がいれば、とても安心ですよね。
では、どんなときに往診を利用するといいのでしょうか。
本稿では、ぜひ動物の往診を活用していただきたいシーンをご紹介します。
高齢で通院による負担が気になる、自宅でできるケアについて悩んでいる
人と同じように動物も、高齢になるにつれ通院や長い待ち時間が負担になってきます。
予防接種や健診(レントゲン検査を使わないもの)、食事など普段のちょっとした相談は往診でも可能です。
かかりつけ動物病院とうまく併用し、なるべくペットの負担を減らしてあげましょう。
高齢な子の場合、とくに以下のようなご相談が多いです。
- 夜鳴きや徘徊(同じところをぐるぐる回ってしまう)などの認知症症状がある子との過ごし方
- 寝たきりの子のトイレやシャンプーなどのお世話、ベッドの作り方や床ずれ予防について
- 食欲不振に対する点滴や、シリンジでの流動食給餌(強制給餌)について
- 癌などによる痛みのコントロール
- ターミナルケア(終末期医療)
動物病院や外出そのものが苦手なので、自宅で安心して診察を受けさせたい
動物病院では不安やストレスから、吠えたり暴れてしまったり診察に協力できない子もいます。
しかし往診では、自宅でリラックスした状態で診察を受けられるので、検査や処置がスムーズに終わりますし、ペットに余計な不安や恐怖を与えずに済みます。
また、お散歩が要らない猫はお年寄りや単身者でも飼いやすく、飼育頭数が年々増加していますが、基本的に猫は慣れない場所への外出が苦手な動物です。通院のためにキャリーバッグに入れるだけで一苦労、という方も多いのではないでしょうか。近年人気が出ているうさぎやモルモット、インコなどの小動物も、温度変化や環境の変化が命取りになり得るため自宅での診察が好まれています。
他の動物との接触を避けたい
猫や小動物の場合、他の動物の鳴き声にストレスを感じる子が多く、動物病院が苦手な一因となっています。
犬の場合は、他の犬を見ると警戒心や遊びたさからずっと吠え続けてしまう、という子も珍しくありません。
往診では他の動物との接触が一切ありませんので、動物にとっても飼い主さんにとってもストレスなく診察が受けられます。
また、接触を避けることで感染症対策としても有効です。
椎間板ヘルニアや手術後のリハビリをしたい
椎間板ヘルニアで麻痺が残っていたり、膝の手術を受けていたり、からだが不自由な子を抱えて通院するのは飼い主さんも大変です。自宅でマッサージやリハビリが受けられればペットの負担も減らせます。
リハビリや鍼灸治療を専門に扱っている往診専門動物病院もあります。
かかりつけ医と連携して治療の選択肢を広げたい
腎不全などの慢性疾患では、日常的に点滴治療をしなければならない場合も多くあります。
定期検査はかかりつけ動物病院で受け、日々の点滴(皮下補液)は往診動物病院に依頼する、といった使い分けをすることで、動物にとっても飼い主さんにとっても無理なく治療を続けることができます。
また、末期の腫瘍などにより、手術や入院などの積極的な治療ができない場合でも、往診で痛みのコントロールや補助的な点滴治療を行うことができます。
飼育環境をふまえたアドバイスをして欲しい
往診では、ご自宅での過ごし方や、食事内容・トイレ・ベッドなどの飼育環境について、実際に見ることができるため的確なアドバイスが可能です。
とくに猫の膀胱炎や尿石症では、トイレ環境の改善が必要であることが多く、トイレの数や設置場所に悩んでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
また、せっかく食事療法をしているのに、ご自宅に伺うとおやつが置いてあったりすることも。
適切な管理ができているか、飼い主さんが見落としていることも獣医師が実際に見てアドバイスできます。
老犬の介護ではベッドのつくりかたのご相談も多いです。
仕事や子育てが忙しく急な通院に対応できない、待ち時間がもったいない
共働き世帯の増加や核家族化により、現代人は何かと忙しく時間に追われがちです。
ペットの体調が急に悪くなってしまったが動物病院へ連れて行く余裕がないときは、自宅で診察を受けられると便利です。通院を先延ばしにすると症状が悪化する可能性がありますので、そんな時はぜひ往診専門動物病院に相談しましょう。
狂犬病予防接種やフィラリア予防など動物病院が混み合う時期にも、往診なら待ち時間なく診察が受けられます。

このように動物の往診は、動物にとっても飼い主さんにとっても、通院の負担を減らすことができるとても便利なサービスです。
通院が負担と感じることが少しでもあれば、まずはお近くの往診専門動物病院へご相談ください。